
(写真=GC緑十字)
GC緑十字は、韓国疾病管理庁と共同開発した炭疽ワクチン「ベリトラックス注(Beritrax)」が、韓国食品医薬品安全処(MFDS)より韓国新薬第39号として品目許可を取得したと発表しました。申請は2023年10月31日に行われ、2024年2月8日付で正式に承認されました。
炭疽菌は、空気中への散布が容易で、生物テロのリスクが高い1級法定感染症病原体に指定されています。過酷な環境下でも高い生存力を持ち、致死率は最大97%に達することから、生物兵器としての利用リスクが高いとされます。このため、GC緑十字と疾病管理庁は、生物テロおよび公衆衛生危機への備えとして、同ワクチンの開発を推進してきました。
「ベリトラックス」は、炭疽菌が有する主な毒素であるLF(致死因子)とEF(浮腫因子)を細胞内に運搬するPA(プロテクティブ抗原)を遺伝子組換え技術により製造したワクチンです。従来の細菌培養法とは異なり、毒素成分が残留しないため、副作用のリスクが低いという特長があります。組換えタンパク質ベースの炭疽ワクチンが製品化されたのは世界初とされています。
健常成人を対象とした第II相臨床試験では、炭疽毒素に対する中和抗体の生成が確認され、重篤な副作用や急性の有害事象は報告されませんでした。プラセボ群との比較でも、軽微な副反応において有意差はなく、有効性と安全性が両立していることが確認されました。
致死率の高さから、第III相臨床試験の実施が困難なことを受け、疾病管理庁は「公衆衛生危機対応医療製品特別法」に基づき、動物モデルによる代替試験を実施しました。その結果、4回目のワクチン接種から6か月経過後も高い中和抗体価が維持され、炭疽菌芽胞への生存率も高いことが示されました。
GC緑十字は、同製品を自社施設で生産できる体制を整えており、政府の必須ワクチン備蓄需要に対応できると期待されています。GC緑十字のホ・ウンチョル代表は、「炭疽ワクチンの韓国化は、ワクチン主権の確保だけでなく、公衆衛生安全保障の面でも大きな意義を持つ」と述べ、「今後も必須医薬品の安定供給に向けた努力を続けていく」とコメントしました。